漆も、種も、未来へのタイムカプセル
数百年後に祈りを託すお弁当箱 -めぶく-
このお弁当箱は、お直しをしながら長く使って、最後の最後は、土に埋めてください。
数百年後・数千年後、未来の誰かが発見してくれるかもしれません。
モノで溢れる現代。新しい物を生み出すこと以上に、
物の終わりに思いを寄せること、
つまり“物の命の仕舞い方・願いの託し方”を考えてみることが、
私たちにとってより大切なことかもしれません。
そこで私たちは今、「漆器を最後は土に還す」という行為に、
祭礼的な祈りと遊び心を添えて、
その思想とプロセスをみんなで楽しんでみたいと思います。
大きな自然の循環の一部として、
繋がりの中で生きていた古代の人たちがきっとそうであったように。
-めぶく-には、漆の種が埋め込まれています。
それは“物の命の仕舞い方”に思いを馳せる手がかりと、
ウルシの林を育てる仲間の繋がりの証として。
漆で保護された器は未来へのタイムカプセル
数千年前の縄文遺跡からは、多数の漆製品が出土しています。日本の酸性土壌の中でも木製品が溶かされずに残るのは、防腐・耐水性に優れた最強のコーティング塗料「漆」だからこそ。ウルシの木が自分の身を護るためのひとしずく。その神秘の力で保護された器は、時を超えるタイムカプセルです。
ウルシの木は人が育てないと育たない
アジアの一部にしか生息しないウルシの木は、人が植えて育てないと育たない木です。自然の中ではほぼ自生できません。数千年に渡って日本人が育ててきたからこそ、この島国にも残ってきました。しかし今、漆の国内自給率は数%と危機に瀕しています。
樹木にとっては種こそがタイムカプセル
もしこれからの時代、どこかで人がウルシの木を育てることをやめてしまったら漆の文化は消滅してしまうでしょう。それでも「種」さえ残っていれば、もしかしたら未来にもこの木を残せるかもしれません。そこで、お直しができなくなるまで使い込んだら、この弁当箱を土に埋めてください。(それはあなたのお子さんやお孫さんの役割かもしれません。)そうしたら数百年後・数千年後、未来の誰かがそれを「発掘」してくれるかもしれません。
本当の意味は、漆を守り育てる仲間の証として
漆の木が消えてしまわないように、私たちは会津の地で新たなウルシの植栽活動を進めています。「猪苗代漆林計画(いなわしろ・うるしりんけいかく)」という活動で、地域の漆器職人や農家が中心となり、人が自然と触れ合い、多様な担い手が学び育っていく漆林づくりを目指しています。 -めぶく-は、日本の漆を未来に繋ぐ仲間の証です。(売上の一部が自動的にウルシ苗の購入や植栽地の管理費などに充てられます。)漆を愛し、応援する人たちの輪が広がりますように。私たちの本当の目的は、そこにあります。次は会津の野山でお弁当を持って集いましょう。
いつの日か、そう遠くない未来に、
このお弁当箱を持ってみんなで漆の畑で集えたら。
それが、私たちの夢見る光景です。